富田木歩 その2
富田木歩の著作を国立国会図書館のOPACで検索すると、次の9件がヒットする。
1.木歩句集 富田木歩著 新井声風編 素人書屋 昭和9
2.木歩文集 富田木歩著 新井声風編 素人書屋 昭和9
3.富田木歩全集 新井声風編 素人書屋 昭和10
4.定本木歩句集 新井声風編 交蘭社 昭和13
5.富田木歩全集 決定版 新井声風編 世界文庫 1964
6.木歩句集 富田木歩著 新井声風編 世界文庫 1966
7.木歩文集 富田木歩著 新井声風編 世界文庫 1966
8.現代俳句集成 第4巻 大正/村上鬼城他著 山本健吉ほか編集 河出書房新社 1982
9.松倉米吉・富田木歩・鶴彬 松倉米吉・富田木歩・鶴彬著 イー・ディー・アイ 2002
ほかの「文学全集」中に収録されたものがあるのだが、内容細目まではヒットできないようである。そこで、近くの図書館のOPAC(Online Public Access Catalogue コンピュータで検索する図書館の所蔵目録データベース)を検索すると
10.現代日本文學全集 91 現代俳句集 筑摩書房 昭和32
11.日本の詩歌 30 俳句集 中央公論社 昭和45
がヒットした。
10には、出典として「定本木歩句集」「遺句集稿本草味」を挙げているが、国会図書館のでは発見できない。いずれにしても、木歩の作品は、親しい句友だった新井声風が編集して世に出たもので、5が文字通り決定版だと思うが、私は目にしていない。10(231句収録)と11(51句収録。これには出典についての記述はない)に、別に読んだ伝記的小説
[12] 鬼気の人 花田春兆著 こずえ 1975
の巻末に春兆選で「木歩七〇句」を載せていた。そこで、このブログに紹介する木歩の句は
この10・11・12に共通して掲載された14の句にした。表記に違いのあるときは10の記述に従う。勿論横書きは、ブログ表記の都合による。
鰻ともならである身や五月雨
この句には「我等兄弟の不具を鰻賣るたたりと世の人云ひければ」という前書きがある。大正六年の作。弟は口が利けないハンディを持つ。富田家は東京向島で大和田といううなぎ屋を営んでいたが、家運が悪く、度々の洪水などで貧窮し、父親も失意のうちに死んでしまい、兄が後を継いでいたがうまくはいかない。その弱り目に祟り目の家を悪口がおそう。この家の状況が判らなければ、上の句は味わうことはできない。だからこそ、前書きがあるのだが、秀句とは言えない。が、背景を知ると無視するわけにもいかない。そんな句だ。
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