自治体ホームページ論 4
自治体ホームページ論 4 特論
公立図書館の地域資料室とホームページ
これからの図書館に期待することーわたしがしようとしてできなかったことー
まちづくりの中心に図書館を
地域資料室の設置と積極的運用を
地域行政資料の網羅的収集と積極的活用
議員・役場職員・青年会議所メンバー・住民ボランティア・住民運動にたずさわる人びと・地域を学ぼうとする人々(小中学生をふくむ)
防災マップ。伝説・民話あんない図。町内でみつけた昆虫。植物。鳥。etc 地域学へと・・・
上は、私が図書館を退職したとき、近くのまちに呼ばれて、話をさせていただいたときのレジメの一部である。これを基に、一つの提言をする。テーマは、「公立図書館の地域資料室で自治体ホームページの制作をしては」ということになる。
1.図書館は、単に、市民に本を無料で貸し出すところではない。
図書館への大方の理解は、本を借りるところ、くらいで止まっている。それは、理解不足なのだが、それは図書館の責任であって、大方の責任ではない。図書館の仕事の仕方が、資料費不足や専門職員不足などのために、本来するべき、「貸出」以外の仕事、例えば市民の知りたいこと、研究したいこと、調査したいことに積極的に対応して援助する仕事をしないで、すませてきた結果である。つまり現在の図書館は、財政危機等の影響を受けて、成長しきれていない中途半端な状態にあるのだ。
2.まちづくりの中心に図書館を
成長した図書館の全体像を今提示する余裕はないが、一例をあげよう。郷土史料室は、地域資料室へと変らなければならない。いままでの郷土史料室も、地域の貴重な記録、古文書等を発掘し、収集し、解読し、提供するなど、立派な仕事をしてきた。その仕事は、そのまま継続し、さらに、地域行政資料を網羅的に収集し、活用しやすいように組織化していかなくてはならない。現在も大半の図書館は、すでにこのようなことはやっていると答えるであろう。が、扱いが静的なのだ。行政資料の収集にしても、発行部署からの送付を待っているだけになりがちである。
「地方分権の進展に伴い、地方公共団体は、自らの責任と判断で地域・住民のニーズに主体的に対応していかなければならない。そのためには、行政情報の積極的な提供・公開による行政運営の透明性の向上やより幅広い住民の意見の行政への反映が不可欠である。政策の企画・立案、決定、執行、評価の各過程において、これまで以上に積極的に情報公開を進める等、行政運営の透明性を向上させ、住民に対する説明責任を果たしていくことが求められている。」
上は、既に見た「新電子自治体推進指針」よりの引用である。この行政情報の積極的な提供・公開は市役所のどこが実施主体となるのだろうか。事務分掌規程をひっくり返して、なるべく自分の守備範囲外におきたい、大方の課長の反応だろう。図書館長もまた、同じではいけない、というのが私の主張だ。これこそ、図書館の仕事なのだ。
行政内部が制作したすべての資料を網羅的に収集し、提供しやすく、分類、整理、配架し、提供する。これが、図書館の仕事でなくて、他のなんだというのか。その資料を使って、例えば、防災マップ。伝説・民話あんない図。町内でみつけた昆虫。植物。鳥。等の分布図などを制作する大きな机がある部屋。そこが地域資料室である。そこには、いろいろな市民、小・中学生も訪れる。議員・職員も集まる、そんな場所が地域資料室である。今までの静的な資料倉庫とは違う、新たな市民のための活動が図書館で展開される。また、図書館である特徴として、行政資料以外の地域資料があり、当然、一般の図書資料がある。例えば、地域資料のなかには、新聞の折込ちらしがある。これを使って、地域の物価変動調査が行われることもあるだろう。そして、その調査結果が、また、新たな資料として、加わっていく。
また、行政情報の提供は、行政への疑問や批判を誘発することがある。それへの対応という仕事、「これは図書館の仕事ではありません」と逃げないことが大切だろう。市民が知りたいことに対応して、それへの解決手段・情報を提供することは、図書館本来の仕事、その中に、行政相談窓口や相談所の設置が加わるだけである。今までの図書館とは異質の仕事が加わる、「嫌だ、無理だ」と考えてはいけない。それだけ、図書館が成長するのだ。住民のために、また、住民と役所の「協働」のために、急激に変化しつつある地域社会から噴き出してくる「前例なき公共課題」を解決できる力を、職員にも、市民にも、議員にも、つけていくための場所、真の自治体にはなくてはならない場所とするのだ。今までの人事体制と予算の見直しが必要となるのは、当然。新たな自治体創設への中核施設くらいの意気込みを持ってことにあたるべきなのだ。幸い、図書館員には「奉仕」の精神がある。「住民サービス」が仕事だという思想がある。利用者に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と普通に声をかけられる人たちだ。統治行政の残像の消えない、他の職場よりは、一歩くらいは、住民の近くにいる。
さらに、図書館は、役所が休みの日も開いている。それだけでも、住民の利用しやすい施設なのだ。そこで行政相談にも応ずるのだ。別に図書館員が対応しなくてもいいだろう。週ごとに担当課を決め、担当者を図書館に派遣してもらう。週末の土日は課長か部長に相談員になってもらうのもよかろう。図書館との協力事業としていくのだ。そうして、図書館は第二の行政庁舎としても機能していく。
3.図書館でつくる自治体ホームページ
印刷媒体である行政資料の収集・整理・提供、これは、図書館の基本的な仕事の一部である。(いろいろな理由で、等閑視されてきたきらいがあるが)
それがデジタル化されたものが、自治体のホームページなのだから、図書館の仕事にしてもおかしいところは何もない。けれども、図書館でホームページを制作している自治体は存在しない。発想さえもなかった。それだけ、私の提言は、とほうもない暴論と取られる下地が十分すぎるほどにある。が、これは真面目な提言なのだ。
広報広聴課との統合、つまり、広報広聴課の予算と人員をいただいて、もちろんホームページ制作費もいただいて、地域資料室を図書館が運営する。これなら、「とほうもない」から一歩二歩実現可能へと動くのではなかろうか。
2000年の地方自治法改正を契機として、好むにしろ、好まないにしろ、市町村は変らなければやっていけなくなった。前例踏襲の行政から脱皮し、新たな行政のしくみをつくっていかなくては、住民の負託にこたえられない。その第一歩として、「ホームページを図書館でつくる」こと、地域課題を住民・職員・議員が共通の情報を共有して考え、解決策を打ち出していく場所としての地域資料室を運営すること、ここから行政改革が始まる。これが、とほうもない暴論だろうか。
とにかく、事態を静観しているより、動いて実践していかなくては、住民のためになる自治体は生まれない。我々は変らなくてはならない。未来は、自分自身を含む現状の変革からしか、生まれないのだ。

最近のコメント